good luck have fun.

140文字に収まらないことや、140文字に収まることを書きます

一年ほど前から欲しかった本がある。とうの昔に絶版となっており、どこのオンラインストアでも一万円を超えるプレミア価格がついている。少しは値下がりしないものかとタイミングを計っていたが、値下がり以前に市場に出回る量がますます減ってきているように感じられ、これは早急に覚悟を決めないともはや手に入れる機会が無くなってしまうと改めてネットを探してみたところ、メルカリで多少リーズナブルに出品されているのを発見した。もはや仕方がないかと決着をつけることにしたが、私はメルカリのアカウントをまだ持っていなかった。私がメルカリについて知っているのは、購入前に出品者へ挨拶やらなにやらのメッセージを送り、こちらの存在を正しく認知してもらわなければ、仮に購入したところでキックされてしまう、だのといったどこまで信憑性があるのやらわからない怪情報のみであった。再度、商品ページを眺めてみる。出版年月日と版数、本の状態のみが記されている。極めてシンプルな商品説明であった。使ったことのないサービスを使う。ただそれだけのことが面倒くさかった。こうして僅かな面倒くさいが累積してやがて老いを形成していくのだろう、などと思いながら個人情報を登録してアカウントを作り、気持ち慎重に購入ボタンを押すと、なんの確認画面が出ることもなく購入は完了した。何年ぶりかのショッピングカートを介さない買い物は購入の実感がわかなかったが、なるほどね、と思った。翌日の夜になると、出品者からメッセージが届いていた。発送は今週末を予定していること、そして遅くなることの謝罪が端的に綴られていた。私は承知したのでよろしくお願いしますと返信する。本はまだ手元にない。しかしこの機会に買ってよかったと思った。来週が楽しみである。