good luck have fun.

140文字に収まらないことや、140文字に収まることを書きます

感想文「珈琲時間」

本日時点ではブログのタイトルは「good luck have fun!」となっている。いかにもゲームの話題を中心に据えるように見えるが、特にそんなことはない。今後も気分に応じて適当にタイトルを変更したり、ポエムを書いたり、長短のメモを残したり、3年ほど更新が途絶えたりする予定だ。

 

というわけで、珈琲時間というマンガの紹介をしたい。

細かい点だが、コーヒータイムではない、コーヒージカンと読むのが正しい。

 

珈琲時間 豊田徹也

 

とは言ったものの、私は本作をどう表現すればいいのかさっぱりわからない。システムとしては1話完結の短編が17編入ったオムニバスだ。ちょっとよい話だったり、特に何もおきなかったり、いまいち意味がわからなかったりして、そして誰かが珈琲を飲んでいて、すとんと終わる。

 

これが今の私にできる渾身の説明だ。

 

おわかり頂けただろうか?

 

魅力の半分とはいかないまでも、3分の1程度は伝わっただろうか?

 

元より私の手に余る代物だと自覚しているので早々に試合放棄、ノーゲームでフィニッシュである。

 

代わりにややネタバレ気味になるかもしれないが、登場人物がまさにそれを説明してくれているため作中から引用したい。 

 

人生に必要なのは何か?
生きる糧となるものは?
酒か? 恋愛か? 金か?
それらは強すぎる
私は一杯のコーヒーだと思う

 

読んで味わう珈琲。チープな表現で申し訳ないが、そうとしか言いようがない。

 

本作を読んでいると心が中空に浮かび上がり、摩擦係数が0となる。何気ないワンシーンにぐいぐいと引き込まれ、自身の経験とダブらせながら思いを馳せ、数ページしか進んでいなくてもずいぶんな時間が過ぎていたりする。マンガや小説のような印刷メディアの優れている点の一つは、あるシーンを体験する際に何分何時間何日かけても、それは読者側に委ねられていることにあると思う。もちろん冷めた珈琲は味が落ちてしまうかもしれない、でも淹れたてとはまた違った味わいがあって、それを好む人だっているだろう。好きなシーン、息を呑んでしまうような一コマ、それらにどれだけの時間を費やしても構わない、それはとても贅沢なことではないか。

 

一杯の珈琲は時間と場所を選ばない。少し辛いことがあった時、特に何でもない時、すごくテンションがあがっている時、そんな折に本作を読んでみれば、きっと心に染み入るものがあるはずだ。

 

尚、私は飲料としてはどちらかというと紅茶派であるため、コーヒー厨のステマではないことを記しておきたい。