good luck have fun.

140文字に収まらないことや、140文字に収まることを書きます

社畜とオブジェとロックスミス

昨年末にSteamセールでロックスミスを買った。本物のギターをコントローラーにして遊ぶ音ゲーだ。

 

私がギターを買ったのは昨年の夏ごろだったと思う。もちろんギターなんて弾いたことも触ったこともない。当時、とにかく仕事が忙しかった。死ぬほど忙しかった。1日の中で自由時間が就寝前の10分しかない生活はさすがにキツイ。

 

ある日、ふと疑問を感じた。こんなクソのような状況で、なぜ私の元にロックの象徴であるエレキギターがないのだろうか、このままでは会社中の窓ガラスを金属バットで叩き割ってしまうことは必至ではないか。強烈な違和感と焦りを覚えた私は、衝動的にネット通販でエレキギターを購入していた。

 

届いたギターはそのまま部屋のオブジェとなった。仕事がクソのような状況だったので当たり前である。観葉植物の代替品と考えれば、それはそれでオルタナティブなスタイルとも思えるため、やっちまった感は特になかったが、楽器には演奏して音を出して楽しむという使い方もあるらしい。

 

紆余曲折あり昨年末から少し時間ができた。せっかくだからこのイカしたオブジェを何か有効活用できないかと考えてみたものの、残念ながら私はメルカリのアカウントをもっていない。仕方がないので教本などに従い音を出してみること数日、「これは無理だ」と私は悟った。強いモチベーションがあるならともかく、わけのわからぬ理由、なかば現実逃避から手を出した人間にロックの神様は微笑まない。

 

そんな折にやってきたSteamウインターセール。何がどう繋がってリコメンデーションリストにあがってきたのかを考えると若干気になるが、とにかく見つけてしまった、スミス師匠を。

 

こいつはスゴイ。

 

ほぼ無限じゃねぇかと思うほどに細かくレベルがわかれているので、ド初心者向けだと4小節に1回程度のペースで弦一本を弾くだけでよかったりする。右手も左手も微動だにしなくて構わない。生まれたての小鹿でももう少し複雑なリフを刻めるのではないかというくらいに優しい。そろそろ生まれたての小鹿以外の例え方も覚えたい。

 

そんな単音をぎこちなく鳴らしたところで果たして楽しいのだろうか、と思うだろう。たいていの音ゲーは低難度のノーツはあまりにもシンプルすぎて、逆に退屈だったりすることも多い。当然の疑問だ。

 

クソ楽しい。

 

あのGreen Dayの、

ビリーのギター音が、

私のピッキングで、

スピーカーから、

出てくるこの、

喜びを、

感謝を、

一体どう表現すれば……

 

無理だ……。

  

 

アンプ・チューナー・エフェクターが内蔵されているので、開始10分でマイフェイバリットアーティストのギターの音が再現されてしまうのである。未来は2014年にして既に我々の元に来ていたのだ。

 

ここまで煽るならばさぞかし練習が捗っていると思うかもしれないが、「それはそれ、これはこれ」である。私にとってのロックの在り方とは「初めて買ったギターはギブソンのレスポールで 買ったその日にケンカで叩き壊しました」なのである。よって、教本やよくできたソフトウェアに従って地道に練習を積み重ねるというのは、お天道様や梅澤春人先生に顔向けできない行為な気がしてしまう。

 

つまり、これは逃げや三日坊主とはきっと違うのだ。「信念を貫き通そうとする意志」である。ギターを弾きたいという原始的な衝動と、それを理性に従って抑え込むという極めてクレバーな判断とが、日々戦っていて、練習したりしなかったり、そんな毎日。

 

 

ちなみに本当によくできているソフトなので、1ミリでも興味を持っている人がいたら他の何を差し置いても今すぐ買った方がよいと思う。超オススメ。