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順列都市をオススメしたい

グレッグ・イーガンの順列都市を推す記事を書こうと思う。

 

順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

 

だが、まず最初に断っておくと、私は上下巻で構成された本作の上巻しか読んでいない。

  

またこのパターンか。

 

先日のリーダブルコードもそうであったが、あちらはもっとひどく、3ページしか読んでいない状態で書いている。

 

こうなるのは仕方がないのだ。そもそも私は一冊の本を読みきったり、何かをやりきったと言えることがほとんどないので、どうしても生煮えの状態で書かざるを得ない。つまり、「悪魔的に美味いカレーを作ってみた」というタイトルでYouTubeにポストしながら、いざ動画を再生するとルーをごろりと鍋の中に放り込んだ所で頓挫しているようなスタイルなわけで、我ながら礼を失しているとは思う。作者、及びこんな辺境の地にわざわざ足を運んでくださったゲスト様に深くお詫び申し上げたい。

 

しかし、それでも私は本作をオススメできる資格らしきものを持っているように思う。

 

今、本棚を眺めてみると、上巻が3冊、下巻が2冊で合計5冊の順列都市が収まっている。なぜそうなったのかの経緯は覚えていない。意図的に集めたわけではないのだ。*1

 

「既に持っているマンガをまた買ってしまった」ということはよくあると思うが、「読んでいる途中の小説を上下巻セットでフルハウスにしてしまう」という症例は比較的少ない気がする。それくらい大好きな作品なのだ。

 

誰しも、面白いが故に途中で辞めてしまうことはあるのではないか。あなたの手元に、ラストダンジョン手前のセーブデータはゼロだと言い切れるだろうか。クリアしてしまえばそこで終了だが、未完の状態で置いておけばそれは永遠となる。

 

そして、こうしてブログを書いているように、私は(私の中で)未完の順列都市のことを忘れていない。定期的に、数か月に一度くらいの頻度で「あれいい加減に読まないとマズイな」と思い出している。ノドの奥に刺さった小骨のように常に気になる存在であり、逆に小骨に愛着が湧いてしまい抜くに抜けない状況である。

 

作品の紹介に移りたい。

 

と言っても、上巻を読んでから既にずいぶんな時間が経過しているので、ほとんど忘れている、うろ覚えの状態だ。主人公の名前すらわからず、作品に登場する固有名詞で唯一覚えているのは「ミュートース」という未来の食べ物で、主人公がそれをマズそうに食べている描写があったように記憶している。

 

全く魅力を感じない紹介で恐縮するばかりであるが、本作の「これはやべぇ」と思ったポイントは、「永遠の不死を手に入れる方法」が記されている所である。

 

それも並大抵の永遠ではない。

 

主人公によると、地球や太陽系が消滅して、果てはこの宇宙そのものが無に帰したとしても、それでも「永遠の不死であり続ける」と言うのだ。

 

マジでヤバイ。

 

何を荒唐無稽なと思う設定であるが、読み進めていくとその内容が薄ぼんやりと見えてくる。上巻ではその全貌までは明かされないが、実現するためのキーらしきものが徐々に浮かび上がり、大盛り上がりの中で下巻へと続く。

 

「……あれ、これはSF小説というか、現実でも適用できてしまうのでは?」

 

そんな可能性すら感じさせ、その興奮は果てしなく、終わらせてしまうのはあまりに忍びなかった。ならばこの小説自体を永遠にしてしまえば解決じゃね、というのが私の出した本作と向き合うためのアンサーなのだ。

 

 

ここまで読んでくれた人は0だと思うが、もしそんな我慢強いあなたがそこにいるならば、是非本作をこそ読んでみてほしい。実際、私はリアル知人にも隙あらばオススメしており、数人の読者の獲得に成功している。そして感想を聞いてみても「いやおもしろかったよ。というかお前も早く読めや」と好感触を得ているので、きっと期待を裏切らない名作に違いない。

 

 

*1:推測するに、久しぶりに読もうと思い立ったが見つからない。仕方がないので買い直す。そしてのちに発見する、ということを繰り返したと思われる